常駐代表ご挨拶
本年1月1日、在ナイロビ国際機関日本政府代表部が発足しました。
発足にあたり、同代表部常駐代表としてご挨拶申し上げます。
ナイロビにおける日本政府の国際機関業務は、これまで在ケニア日本国大使館が国際機関班を設けて行ってきました。しかしこの度、国際機関業務を大使館から切り離し、組織上独立する代表部が行うことで、在ナイロビ国連アフリカ本部との関係を格上げすることとしたものです。格上げされた新たな関係を通じて、日本政府は同本部との協力を一層強化して参ります。
世界の環境問題にとっては、気候変動が最大の課題であります。しかし、関連する、生物多様性の損失、海洋プラスチックや廃棄物を含む汚染を加えた「三つの世界的危機」の重なりが近年強く意識されるようになって来ました。こうした重なりを的確に認識し、多分野の対策が互いに相殺することなく、むしろシナジーを発揮するよう政策を立てていく必要があります。ここに、国連において環境問題を総合的に取り扱ってきた国連環境計画(UNEP)が担うべき大きな役割があります。
また世界各地で都市化が加速度的に進行し、都市問題は深刻化する一方です。紛争地や被災地における住居の確保も、人間の安全保障を確保する上でそれぞれの地の状況に応じたきめ細かい対応が迫られています。国連人間居住計画(UN-Habitat)を通じて、これらの課題に取り組んできた世界の関係者のアイディア、政策、実践を持ち寄り、互いに学び合うことを通じて、現場の関係者が解決の糸口をつかんで行くことがいよいよ重要になっています。
UNEPとUN-Habitatは、伝統的にナイロビに本部を置いて来ました。現在、国連人口基金(UNFPA)を始め、本部機能の一部をナイロビに移す国連機関が続々と増えています。在ナイロビ国連アフリカ本部は、本部機能の内実を急速に高めているわけです。日本政府も従来ニューヨークやジュネーブで行ってきた国際機関業務の一部をナイロビで行う必要が出てきます。
そして日本とアフリカの関係が一層緊密になるにつれ、ナイロビに所在する各国際機関のアフリカ地域事務所や東アフリカ地域事務所との関係も強めていかなければなりません。
これらすべての観点から、日本は良いタイミングで代表部を発足させたと思います。新たな立場で、各国際機関や在ナイロビ国連アフリカ本部への各国代表とこれから協力を進めていくことは、私にとり喜ばしいことです。世界の諸課題の前進のため、皆さんと力を合わせていきたいと考えます。